僕は以前、激流カヤックのガイドをしていました。いまは週末、子どもたちと近所の川で遊ぶのが定番になっています。
そんな中でも、ガイド時代の癖はなかなか抜けないもので、川に着いてもすぐには遊ばせません(子どもたちは早く入りたくてウズウズしてますが(笑))。水に入る前にやることが4つあるんです。全部で5分もかかりません。でもこの5分があるかないかで、川遊びの安心感はまるで変わると思っています!
1. 川に入る前に、3分だけ家族ミーティングをしよう
ラフティングツアーって、必ず「セーフティトーク」という安全説明から始まるんです。あれはお客さんを怖がらせるためじゃなくて、心と身体を川モードに切り替えるスイッチでもあります。
家族版は3分で十分です。今日遊んでいい範囲(あの岩からこっち、など目印で)、呼ばれたら一度止まること、勝手に深い方へ行かないこと。これを水に入る前に、川を一緒に見ながら言う。遊び始めてから言っても、子どもの耳にはもう入りません(笑)。

2. ライフジャケットは、浅くても全員着けよう!
「膝くらいの深さだし、いいか」って思うこと、ありませんか?でも「膝」というのは、大人の目線なんです。大人の膝丈は、子どもにとっては腰から胸の深さです。
しかも川底は、よく滑ります(河川財団の調査でも、水辺のヒヤリハットの1位は「滑る」です)。転んで全身が浸かり、流れに押されて深みへ — 事故はこの数秒の連鎖で起きます。
そして一度浸かると、人の身体は真水では約2%しか浮きません。頭は体重の約1割あるので、力を抜いて浮くと水面に出るのは頭のてっぺんだけで、口は水の中。流れの中ではさらに沈みやすくなります。僕も一度、流れに引きずり込まれて水面が遠くに見えた経験がありますが、あれは大人でも抗えない力でした。

出典:(公財)河川財団『川の中や水際などにおける水難事故を防止するための対策』(2026年6月版)
だから、浅瀬でも子どもは全員ライフジャケット。そして親も着けてください(理由は次の項目で!)。国土交通省もライフジャケットを「川のシートベルト」と呼んで、着用を呼びかけています。
子ども用の選び方(股下ベルトや認証マークの見方)は、別の記事で詳しくまとめています。
3. 親は、子どもより「下流」に立つ
これ、ガイド仲間以外があまり言わないことかもしれません。見守る親の立ち位置は、子どもの下流側です。
万が一子どもが流されたとき、親が上流にいたら、追いかけても間に合いません。下流にいれば、受け止められる。そして助けるときの原則は「川に入らずに助ける」です。棒でも釣り竿でも、差し伸べられる物を確認しておく。親がライフジャケットを着ておくのは、いざという時に自分まで事故側に回らないためなんです。

4. 「上がるサイン」を先に決めておく
川の水位って、その場が晴れていても上がることがあります。上流で降った雨が、時間差で流れてくるからです。
着いたら大きな岩をひとつ目印に決めて、いまの水位を覚えておく。水位が上がってきたら上がる。水が急に濁り始めたら、これは増水のサインなので即終了!「もうちょっと遊びたい」が出る前に、サインで終わると先に決めておくのがコツです。
段取りがあるから、気軽に行ける
4つ書きましたが、慣れると全部で5分です。
安全の型は、川遊びを重たくするものじゃなくて、安心して思いきり遊ぶための道具だと僕は思っています。この週末、近くの川に行くことがあったら、水に入る前の5分、ぜひ試してみてください!
- まとめ記事: 子連れ川遊びの安全ガイド 完全版(この連載の全体像)
- 関連記事: 川で流されたら、立とうとしてはいけないって知ってましたか?
- 関連記事: 子ども用ライフジャケットの選び方
参考リンク
- 河川水難事故防止ポータルサイト(国土交通省) — ライフジャケットは「川のシートベルト」
- 川の防災情報(国土交通省) — 上流の雨・水位の確認に
- 公益財団法人 河川財団 水難事故防止
この記事を書いた人

安永翔太(やすなが しょうた)
元・激流カヤック・ラフティングのプロガイド。国内外の川を漕いだのち、家業の板金加工会社((株)ヤスナガ・福岡県柳川市)に戻り、アウトドアブランド「Naturesteel.」を運営しています。いまは週末、妻と2人の子どもと近所の川や山へ。このブログでは、日常のすぐそばで自然を楽しむ知恵と道具の話を書いています。