ラフティングガイドを始めたばかりの頃、僕はよく、足裏の痛みを我慢しながらツアーをやっていました。
原因はサンダルの中に入った小石です。ツアー中はサンダルを脱ぎ履きする余裕がないので、川底の砂や小石が入ったら最後、ゴールまでずっと足裏でジャリジャリ言わせながら漕ぐことになる(笑)。
その後、ガイドの仕事でいろんなリバーサンダルを履き倒して分かったのは、川遊びのサンダル選びの基準は3つだけ、ということでした。
基準1: 砂と小石が「抜ける」か
これが一番大事で、一番見落とされている基準です。
川底は砂と小石でできています。歩けば必ずサンダルの中に入ってくる。問題は、それが歩いたまま抜けてくれるかどうかです。
つま先が覆われた保護型のサンダルは、しっかりしている反面、入った砂が抜けません。脱いで落とすしかない。一方、ストラップ型のサンダルは、水中で足をザバザバ動かせば砂も小石も勝手に抜けていきます。抜けにくければストラップを少し緩めるだけ。この差、半日遊ぶと圧倒的なんです!

基準2: ソールが硬くて、厚いか
意外に思われるかもしれませんが、川ではソールは硬いほうがいいんです。
川原も川底も、不安定な岩と石の連続です。ソールが柔らかいと、岩の角で足をくじく原因になる。硬くて厚みのあるソールなら、岩場でも足元が安定して、安心して歩けます。ビーチ用のペラペラなサンダルが川に向かないのは、ここです。
基準3: 脱げないか — これは快適さでなく、安全の話
濡れた足で半日履くものなので、ズレる・擦れるサンダルは水の中では使いものになりません。ただ、この基準はもう一段深刻な意味を持っています。
調べていて再確認したのですが、「流されたサンダルを追いかけて溺れる」は、子どもの水難事故の典型パターンとして全国で注意喚起されています。「サンダルバイバイ」(流されたサンダルは追いかけず、バイバイする)という合言葉の啓発活動が47都道府県に広がっていて、7月30日は「サンダルバイバイの日」にもなっているほどです。
つまり、足からサンダルが脱げた瞬間に、事故のリスクが生まれる。かかとまでストラップで固定できて脱げにくいサンダルを選ぶことは、快適さの話じゃなくて、安全対策そのものなんです。もちろん、もし脱げて流されたら、追いかけない。これは川に入る前に子どもと約束しておいてください。
僕の結論と、現行モデルの話
僕がガイド時代に色々履いた末にリピートし続けたのは、チャコのサンダル(通称チャコサン)でした。砂は抜ける、ソールは分厚くて硬い、ストラップのフィット感も良い。3つの基準を全部満たしています。
今回この記事を書くにあたって現行モデル(Z1クラシック)を調べ直したら、ちょっと嬉しい発見がありました。メーカーいわく、足裏の形状は医師と共同開発したもので、米国の足病医学協会にも認定されているそうです。30年以上作り続けられていて、いまもリバーガイドの定番。僕の体感に、ちゃんと裏付けがあったわけです(笑)。実売は1万円台前半(2026年夏時点)。

出典: CHACO公式サイト
もうひとつの代表格がKEENのニューポートH2で、これも僕は使っていました。「つま先を守る」がコンセプトの剛性の高いサンダルで、軽いハイキングならこれで登れてしまうほど。ただし構造上、砂が抜けないんです。実売は1万円前後で、こちらはキッズサイズの展開が充実しているのも強み(親子で揃えられます)。

出典: KEEN公式サイト
だから最後は、岩や流木の多い川でつま先の保護を優先するか、砂利の川で快適さを優先するか — 自分の遊ぶ川で基準の優先順位を決めるのが、選び方の仕上げになります。
子どもの分は、うちはこうしています
ここまで書いておいてなんですが、子どもたち全員にKEENを買い与えるのは、正直けっこうしんどいです(笑)。すぐ足が大きくなりますしね。
なのでうちは、子ども服の専門店で売っている手頃な川用サンダルを買っています。それで何年も使えています。
選ぶときに見ているのは、大人と同じ考え方です。つま先がちゃんとあって、かかともついていて、しっかり履くタイプのもの。この形さえ守れていれば、値段は決め手になりません。
逆に、ビーチサンダルとクロックスだけは絶対にやめてください。脱げます。そして脱げたサンダルを追いかけるのが、さっき書いたいちばん危ないパターンです。
安い分、砂はどうしても入ってきます。うちは子どもが気にしていそうだなと思ったら、その都度脱がせて落としてあげています。それくらいの手間で済むなら、じゅうぶん元は取れていると思います!
帰り際は、ポータブルシャワーで流してしまおう
サンダルの話の最後に、帰りのことをひとつ。
川から上がって車に乗るとき、足もサンダルも泥だらけになっていませんか?あれをそのまま車に持ち込むと、あとが大変なことになります。
うちは、家から水を汲んで持っていくタイプのポータブルシャワーを積んでいます。20リットルくらい入るやつです。車に乗る直前に、足とサンダルをざっと流してから乗る。これだけで帰り道がまるで違います!
砂が抜けるサンダルを選んでおくと、この最後の流しもすぐ終わります。そこまで含めての「砂が抜けるか」なのかもしれません。
次に川へ行く前に、いま持っているサンダルを3つの基準で見てみてください。特に基準3だけは、家族全員分チェックする価値がありますよ。

- まとめ記事: 子連れ川遊びの安全ガイド 完全版(この連載の全体像)
- 関連記事: 暑い日なのに厚着?川遊びの服装ってどうしたらいいの?
- 関連記事: 子ども用ライフジャケットの選び方
参考リンク
- サンダルバイバイ(NPO法人AQUAkids safety project) — 流されたサンダルは追いかけない
- CHACO Z1クラシック(公式)
- KEEN ニューポートH2(公式)
この記事を書いた人

安永翔太(やすなが しょうた)
元・激流カヤック・ラフティングのプロガイド。国内外の川を漕いだのち、家業の板金加工会社((株)ヤスナガ・福岡県柳川市)に戻り、アウトドアブランド「Naturesteel.」を運営しています。いまは週末、妻と2人の子どもと近所の川や山へ。このブログでは、日常のすぐそばで自然を楽しむ知恵と道具の話を書いています。